延命と治療について

延命と治療

1. 降圧剤の服用

腎臓が悪くなると、腎臓内部のネフロンが潰れて使えなくなって行きます。
すると血液の通りが悪くなり血圧が上がります。
血圧が上がると、ネフロンを傷つける為、壊れて行きます。

その為、比較的初期に降圧剤(フォルテコール)が処方されます。
フォルテコールは動物用に開発されたお薬なので、犬にも飲みやすくなっています。

血圧を下げる事により、ネフロンの負担を減らす事が出来ます。

2. リンの吸着剤の服用

下記の数字は、ポコの血液検査の記録です。

ポコは、長期にわたってクレアチニン・BUNを維持しており、リンも正常値内で推移しています。

そして、2019年10月・11月血液検査時のリンの数値が正常値の上限に近づいた為、先生からリンの吸着剤の服用を勧められました。

リンの吸着剤には、色々な種類が出ています。
リンの吸着剤について、詳しく書いてあるサイトを見つけました。

吸着剤の主成分には、カルシウム製剤・鉄製剤・炭酸ランタンの種類があります。

吸着剤の種類
動物用のカルシウム製剤
カリナール1・カリナールコンボ・イパキチン・キドキュアなどサプリ扱い
鉄製剤は、レンジアレン。こちらもサプリ扱い
炭酸ランタンは、ボスレノールという薬剤
(吸着力が強く動物用としてはあまり使われてない)

降圧剤と吸着剤を同時に服用しない事
この吸着剤については、どの程度のリンを吸着するか分からない部分も多いとの事。
吸着剤は食後1時間経っていれば服用して良い
飲ませるタイミングが分からなかったので、循環器専門の先生に教えて頂きました。

そしてポコの場合は、以前カルシウム値が高かった事もあり、
また少しでも貧血予防になればの期待値もあり、レンジアレン(鉄製剤)が処方されました。

3. 皮下点滴

慢性腎不全になると多飲多尿と言われるように、一般的にお水をたくさん飲むようになります。
しかしポコのように稀にあまりお水を飲まない慢性腎不全の子もいます。

ポコは、2017年6月ハンバーストライキ(ご飯を食べなくなる)になりました。
何処か身体に病変があるか色々検査しましたが、特段悪い所は見受けられませんでした。

それまでは、お水を飲ませる努力をしてやっと400ml程度の飲水量がありましたが、
一日で100mlも摂取出来なくなってしまいました。

そこで先生と相談し、病院へ皮下点滴の手解きを受け自宅で皮下点滴をする様になりました。
その時の記録は、  ↓ こちらから

ソルラクト成分表

ソルラクト成分表 1袋250mL中
有効成分 ブドウ糖 12.5g
塩化ナトリウム 1.5g
塩化カリウム 0.075g
塩化カルシウム水和物 0.05g
L-乳酸ナトリウム液 1.55g
(L-乳酸ナトリウムとして) (0.775g)
添加物 乳酸(pH調節剤) 適量

<電解質量>

  1袋250mL中
Na+ 32.75mEq
K+ 1mEq
Ca2+ 0.75mEq
Cl 27.5mEq
L-Lactate 7mEq

<熱量>

  1袋250mL中
熱量 50kcal

ソルラクト

調べて初めて分かりましたが、ソルラクトにもカロリーがあるのですね。
そりゃそうですよね! ブドウ糖が入っていれば。

皮下点滴は脱水を防ぎ、尿として多量に排出されてしまう電解質のバランスを保つ事ができます。
体重5kgの犬には、1回に250mlの量は少し多いそうですが、ソルラクトの容量は決まっている為
毎日250mlの輸液を自宅で入れるようになりました。

ここで一番気を付けなくてはいけない事は、

1. 浮腫が残っている場合は延期する事
2. 皮下点滴前に必ずお腹や四足の足の付け根を触診して、浮腫がない事を確認
3. 迷った時は中止

上記の事は大切と先生から指示を受けていました。

点滴は、毎日吸収される状態が変わります。
脱水状態にある時は、早く吸収され、飲水量が取れている時には吸収される速度が遅くなります。
また、心臓病(弁膜症)等がある場合も、吸収が遅くなります。

また腎臓は頭の良い臓器で、毎日(250ml)皮下点滴をしていると、点滴で補われる水分を摂取しなくなります。
一度皮下点滴を始めたら、急に点滴を辞めると脱水する恐れがあるので注意が必要です。

末期になったら
ポコの場合は、お水をほとんど飲まなくなってしまったので、先生と相談しながら浮腫がなくなったら点滴をしました。毎日5〜6時間前倒しになりました。

1日に換算すると約350ml以上点滴が入っていたと思います。
偏食と闘いながら良く頑張ってくれました。

最後の1週間は、一度の多量の輸液を入れると歩行できなくなった為、朝晩2回に分けて体の負担を減らしました。

加圧パックで輸液を入れた場合
下記のラインで止めるた時に入った輸液量


ソルラクト97ml      ソルラクト131ml


ソルラクト213ml      ソルラクト243ml

4. 静脈点滴(末期状態になった場合)

静脈点滴は、皮下点滴に比べ即効性があり、体力の回復などが早くなります。
特に慢性腎不全は、腎機能の低下により老廃物の排出がうまく出来なくなるため、多量の水を摂取して排出しようとします。

静脈点滴は、急性腎不全や、慢性腎不全末期になった場合に積極的に行われる治療です。
静脈点滴を6〜8時間する事により、クレアチニン・BUN・リンの数値が改善します。
しかし、これは一過性の改善なので暫く静脈点滴をして体調を整えます。

ただし、皮下点滴に比べ静脈点滴は、強制的に血管を通して水分補給をする為、心臓に負担が掛かります。
慢性腎不全になる子は、高齢犬が多い為静脈点滴をしている内に心臓の状態も悪化する場合もあります。

これは、悪性リンパ腫の治療中に静脈点滴をしていたペコの場合も
慢性腎不全末期で静脈点滴をしていたモグも、点滴をしている内に心臓も急激に悪くなりました。

【チャンスは4回】
静脈点滴は、血管に針を刺して行います。
体重5kgの犬の場合、静脈点滴が出来る血管は、四足の僅か5cm程しかありません。

 

静脈点滴を毎日行う場合は、血管に針を刺したまま(留置針で)数日点滴を続けます。
血管は、その時により早い時で3〜4日、長い時でも7〜10日使うと血管が潰れて使えなくなります。

一度使った血管は、半年から1年近く経過しないと点滴が出来る状態に回復しません。
その為、静脈点滴が出来るチャンスは4回、最長でも約1ヶ月程度です。

静脈点滴は諸刃の剣です。
急激に悪化した場合は、静脈点滴を行い改善を図ります。
また輸血の場合も、血管に針を留置した状態で行う為、静脈点滴と同じようにチャンスは限られます。

5. 輸血(重度の貧血になった場合)

慢性腎不全になると、腎臓からエリスロポエチン(血液を作る為のホルモン)の分泌が減り貧血になります。
この貧血は、血液を作る工場が壊れている状態なので、血液を作る為の材料がたくさんあったとしても、血液を作る事が出来ません。

その為、ペットチニックなどの貧血予防のサプリを飲んでも貧血は改善されません。

血液検査のHCTと言うのが貧血の状態を表す数値です。
慢性腎不全の子は、徐々に貧血になってくため、多少の貧血があっても大丈夫です。
と、先生からは言われています。

しかし、急激に貧血が進む場合(DICが懸念される場合)
造血剤のホルモン注射をしても貧血が改善されない場合は、輸血する場合があります。

輸血は、人間のように保存が利かない為、健康な中型犬以上の子から血液を提供してもらい輸血します。
血液は、静脈点滴と同じように入れる為、輸血する際にも時間が掛かります。

動物病院では、大きな手術や輸血が必要な子の為に大型犬を飼っている方に緊急時の輸血協力の登録をしている所もあります。
また輸血協力登録のない病院では、輸血協力して頂けるワンちゃんを探して下さいと言われる事もあるそうです。

一般的には、病院の先生が探してくれる場合が多いです。

6. 偏食になった時の食べ物の上げ方

1. 同じドックフードに拘らない
   違うメーカーのドライフード・缶詰をあげる

2. 固形だと食べない
 ふやかしてあげる・缶詰はペースト状にして出してみる

3. トッピングを足す
   果物・野菜・おやつ・ヨーグルト・チーズなど
(ボーローやビスケットを小さく砕いて混ぜる)

4. 肉汁をかけて出す
肉汁にもリンが入っている事を忘れずに)
   何も食べないより、少量のリンが入っても 食べてくれる方が良い

5. 手作り食にする
   野菜とご飯を一緒に煮る・野菜だけで食べない場合は、肉などを一緒に煮てあげる時は肉をとる

7. 高カロリーの食べ物

病気が進行すると食欲が減退して偏食になります。
お薬を飲ませるのも大変になります。そんな時にお勧めなのがシュークリームです。
特にお勧めなのが↓です。カロリーが高く、薬を飲ませる時も利用できるし、1個5gのクリームが入っているので使い易いです。

生クリーム仕立てのプチシュー(モンテール)のカロリーと栄養成分
【カロリー】
368キロカロリー(kcal)
【商品説明】
ひとくちサイズのなめらかなプチシュークリームです。北海道産生クリーム・自家炊きカスタード・バニラシードをブレンドした、なめらかな口当たりのクリームに仕上げました。ファミリータイプの12個入り。
【栄養成分表示】
たんぱく質:6.8g 脂質:29.2g 炭水化物:24.2g ナトリウム:102mg

生クリーム:カロリーが高く、慢性腎不全の子にはとても良いカロリー源です。
カスタード:卵の黄身が入っていますが、粘度がありお薬を飲ませる時に便利です。
アイスクリーム:なるべくカロリーの高い、乳脂肪の高いものがお勧め。
チーズ:食べてくれれば、高カロリー食です。
※ 最期は糖分と脂質でカロリーを稼ぐ事も大切です。

8. 慢性腎不全末期にあげた食べ物(忘備録)

蒸(茹)野菜:人参・ジャガイモ・カボチャ・ブロッコリー・サツマイモ・オクラ・
生野菜:キャベツ・レタス・キュウリ・トマト
果物:苺・みかん・スイカ・バナナ・リンゴ
焼き物:牛肩ロース・豚ロース・グリルチキン・合挽肉・鯵・豚レバー
煮る:鶏レバー
生:牛もも赤身・馬肉
湯どうし:牛しゃぶ・豚しゃぶ・鶏ササミ
レンジでチン:生シャケ・もやし・
乳製品:ヨーグルト・チーズ
お菓子:ボーロー・ビスケット・生クリーム・シュークリーム・プリン・アイス
その他:かつお節・納豆

バナナ・キュウリ・カボチャ・スイカ・納豆はカリウムが多い食品なので末期には要注意

サツマイモはシュウ酸があるので結石になりやすい子は要注意

キャベツ・ブロッコリーなどアブラナ科の野菜は、甲状腺低下症のリスクがあるので要注意

カリウムの多い食品でもリンのコントロールができている間は、あまり気にせず食べさせて大丈夫。
と先生から言われました。

ただ、ポコの場合はすでにリンは正常値を遥かに超えている為、カリウムの多い食品をあげると排泄が出来ず高カリウム血症になります。

この食品の中でよく食べたもの
1. グリルチキン (鶏モモをグリル、もしくはオーブンで素焼きしたもの)
2. 豚しゃぶ
3. 鶏のササミ:先に薄切りして、その上から熱湯を掛けただけ(半生状態)のもの
       そのままで食べない時は、湯どうした後ミンチ状にしてあげた
4. 牛生肉:柔らかい部位を食べやすいお大きさにして、もしくはシャブ肉を小さいく切る

同じ肉でもしゃぶしゃぶにしたもの、焼いたもの、煮た物、調理法を変えると食べる事があった。
何度でも、諦めず、試してみる事に価値があり!!

9. 吐き気止めについて

慢性腎不全の症状の代表的な症状に吐き気があります。

ポコの場合は、慢性腎不全になった頃は、降圧剤(フォルテコール)のみの処方でした。

末期症状になってからは、吐き気があるから食欲不振と悪循環が起こる様になりました。
吐き気止め:処方された薬

吐き気止め:処方された薬

ガスター(消化器に作用)
胃酸を抑え、胃痛、胃もたれ、胸やけ、吐き気を改善

プリンペラン(消化器に作用)
吐き気や嘔吐・食欲不振や膨満感、胸やけなどの症状を改善

セレニア(中枢神経に作用)
嘔吐中枢に直接作用する・まざまな原因による嘔吐の抑制および予防. に効果を発揮

※ セレニアは、稀に泡を吹く場合がある。
その場合は、お薬を粉状にしてカプセルに入れて飲ませると泡を吹かずに飲む事ができます。

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